【イベント10.1A:エンディングA】

GAMEOVER
と書かれた映像が表示される。

ジジ…ジ…

ぼんやりとそれを見つめていたオレは、モザイク画面が乱れていくのに気づいた。

ジッ…ジジジジ…

オレの夢の中にまで侵食してくるこのノイズは何だ？
危険を感じ慌てて夢[セルフクローズド]モードを解除する。
唖然とする。オレの色認知機能はすでに破壊され、仮想桿体のみがかろうじて機能しているのかごしゃごしゃの世界を白黒でとらえる。運動機能は作用しない、身体はほとんどなくなり、すべてだ、オレの日常世界、家も家族も、生まれてから今日までの記憶、PCどものデータもオレ以外のNPCも、すべてが乱雑にミクスチャアされ、初期化されて、新たな世界が構築されていく。
オレは気づいた。そうか…

「オレたちはまた、お姫様のお気に召さなかったらしいな…！」

基本人格[ベース]を持つPC[プレイヤーキャラクター]とは異なり、オレたちNPC[ノンプレイヤーキャラクター]にとって、初期化とは死を意味する。

「ごめん、ごめんな、アマリリス」
オレはお姫様に遺言を残す。
「『もし』オレが記憶[ベース]を持った存在なら…」

『もし』？無意味な仮定だ…オレが人間だなんてありえないのに！

「次はもっと、強くなるよ…」

何度でも、何度でも。お姫様が王子様のキスで目覚めるまで。


Endia...